【求人向けコラムVol.01】
背伸びをしない環境づくりで
働く人の力を最大限に引き出す
働くところを見つけるとき、会社の雰囲気はどんな感じなんだろう? どんな人が働いているんだろう? 具体的な仕事内容が知りたい……などなど、気になることや知りたいことがたくさんあると思います。
そこで、明山の石野伸也社長に直接インタビュー。社長の視点から見た会社全体のこと、働く人たち、明山の未来についてなど、いろいろと話を伺っていきます。
先代の想いを受け継ぎ、新しいことにもチャレンジする
ーーまず、石野社長が就任した時期について教えていただけますか?
石野敏通前社長の後任として、2014年に代表取締役社長に就任しました。明山の創業は江戸時代、信楽焼と苦楽を共にしながら約400年歩んできた歴史のある会社です。苦しい時期もあったようですが、時代に合わせ、やり方を変えながら、次世代へとつないできてくれた先代のおかげで今があります。
ーー社長に就任するにあたって「こんな会社にしたい」など、思い描いていたことはありますか?
“新しいことにチャレンジする会社” にしたかったんです。伝統というのは革新の連続なので、何かを変えないと次の世代には残らない。だから、失敗を恐れずにどんどんチャレンジしていきたいな、と。そもそもものづくりは失敗の連続で、数々の失敗があったから明山は今まで受け継がれてきたわけですし。
そうですね。世の中の一流の人々の話を聞いても、失敗を糧に次へと繋げている人が多いとも感じます。だから、若い人にはどんどんチャレンジしてもらって、伸び伸びと働いてもらうのが一番だと思いますね。もしできなくても誰かがサポートすればいいだけのこと。明山にも10年、20年と働いてくれている人がいるけれど、みんな絶対に失敗を経験しています。何か問題が起きたとしても一人で抱え込まずににみんなで話し合って、次に繋げていけばいいんです。
ものづくりに“発想力”は必要不可欠
ーーものづくりをする上で一番大切なことは何ですか?
発想力だと思います。豊かな発想力がないと今の時代、どんな仕事も機械に置き換わられてしまいます。働く人たちの発想力を大事にしたいから、そのためにはチャレンジしやすい環境にしないといけない。ただ、チャレンジのためには耐え忍ぶべき時期というのは誰しも訪れるものだから、それを乗り越える力をつけることも大切です。何事もバランスですね。明山のスタッフはみんなそれを理解してくれていると感じています。
ーー具体的に、どういったところでそう感じますか?
失敗をしても隠すようなことはせず、建設的な話し合いをきちんとできるところですね。あと、普段の何気ない会話からも人となりって伝わるものなんです。相手を100%理解することはできなくても、わかりたいと向き合うようにはしています。
得意より、好きであることが大事
ーー社長が思う「求めている人物像」はどんな人ですか?
やっぱり、ものづくりが好きな人ですね。得意というより、好きな人。陶芸の経験があるかどうかはあまり重視していないです。
ーー得意より、好きを重視するのはなぜですか?
好きだとその分、伸び代があるからですね。もちろん、製造は重たい石膏を持ち運ぶこともあるから男手が欲しいとか、3DCADなどのデジタル技術に強い人が来てくれるとうれしいな、とかはあります。ただ、メーカーよってつくり方や考え方は全然違うから、スキルがあるからといって明山にフィットするかどうかは別の話です。
ーー逆に言うと、他で自分のスキルを活かせなくても、明山なら活かせる機会があるかもしれませんね。
その可能性はあると思いますよ。うちはまず、工場見学に来てもらって現場を見てもらい、イメージしていたような会社かどうかを自分自身で判断してもらうようにしています。新卒の方には必ずインターンに来てもらっているのもそのためです。“縁”を大事にしたいのでこちらから「絶対に来てください」とも言いません。
明山が掲げる「七つの心、指針」
ーー会社づくりで大切にしていることがあれば教えてください。
明山には「七つの心の指針」というのがあって、前向きな心、真摯な心、想いやる心、受け入れる心、感じる心、楽しむ心、信じる心を掲げています。新しく入社してくれる人には僕の口から直接伝えていますが、共感できるかどうかよりも、自分自身できちんと考えた上で落とし込めるかどうかが大事だと思います。
ーー自分で噛み砕いて、その上で共感できるかどうかが大事なんですね。
仕事に限らず、生きていると自分で考えなければならない局面が絶対に訪れます。日頃から自分自身で考える習慣をつけておけば、仕事で失敗をしてしまったり、何かしら問題が起きてしまったりしても、逃げたり責任転換をしなくなります。僕自身あまり言い訳をするのが好きじゃないというのもありますが、どんなときも次につながる言葉を選ぶようにした方が、物事は前向きに進んでいくと思います。
新しい挑戦の積み重ねが、未来の明山の柱になる
ーー明山では陶器製造の他に、カフェやゲストハウスなど、幅広く事業を展開していますよね。新しいことを始めるときに意識していることはありますか?
二番煎じになるようなことはしたくはないですね。モデルケースをただ真似るのではなく、一つ二つ工夫を加えてオリジナリティを出すことが大事です。これまでにやったことのない作風にどんどんトライしています。新しい挑戦を続けることが長い目で見た時に会社の柱になっていく可能性は大いにあり得ますから。
ーー話を伺っていて、ものづくりと会社づくりには通ずるような部分があるのかな、と感じました。
似ていると思いますよ。僕は作品や商品をつくる時には一度寝かせたり、ちょっと引いて見たりしながら、客観的な視点を失わないようにしています。会社も同じで、どうしても自分たちがやっていることが正しいと思いがちになってしまうので、いろんな人の意見を聞くようにしています。ただ、聞きすぎるのもよくない。
ーーバランスが大事なんですね。
最終的に判断するのは自分なので。もし失敗をしてもまた取り返せばいいだけのこと。責任を持ってやることが大事です。
つくる人が気持ちよくいられないと、いいものは生まれない
ーー社長の目から見て、社内の雰囲気はどうですか?
みんながどう思っているのか直接聞いたことはないけれど、いい雰囲気だと思いますよ。新しい人を採用する時にも、現場にこんな人が入ってきたら、相乗効果でみんなが力を発揮できるんじゃないか、というところまで考えます。明山は少人数でやっている会社だから、新しい人が入ることでよい変化が生まれることもありますし。
ーー明山には子育てしながら働いているスタッフもたくさんいますね。
子育て世代が働きやすい会社にしたい、というのはありますね。僕自身が子育て中というのも大きいけれど、仕事と家庭のバランスをきちんと取れる環境づくりは大事だな、と。もしお子さんの体調不良などで休むことがあっても、その分違う時にがんばってくれたら結果的に会社としてはプラスになるから。
ーーワークライフバランスを重視している理由は?
つくる人自身が気持ちよくいられないと、人を感動させられるものって生まれないと思うんです。窮屈なところで、何も楽しくないなって思いながらつくっていたら、それがつくったものにも現れるし、人にも伝わってしまう。背伸びをせず、窮屈ではない環境をつくることで、スタッフが自分の力を最大限に発揮できる。そんな環境をつくるのが僕の仕事だと思っています。
ものづくりの枠にとらわれず、産地を盛り上げる一助になりたい
ーー最後に、今後の展望について教えてください。
“信楽という産地の未来をつくりたい” という思いがあります。僕は信楽で生まれて、高校を卒業してから1年間修行をし、明山に入社しました。生まれてから40数年くらいこの町を見てきたけれど、ここ数年はちょっとくすぶっているように感じているので、そこをなんとか盛り上げていければいいなと思っています。
ーー町おこしの取り組みの一つでもある、古民家を改装したギャラリー&カフェ「ogama」にも、多くの方に足を運んでいただいていますね。
ありがたいことですよね。僕がこうやっていろんなことができているのは、優秀なスタッフたちのおかげです。みんなが自主性を持って仕事に取り組んでくれているのをここ数年、とくに実感しています。これからも地域の人たちが望んでいることを一つずつ実現していきながら、明山という会社をいい形で次の担い手にバトンタッチしたいです。